Step3
図3-14![]() |
この形を「コウ」と呼ぶことは既に学んでいます。 このままでは、ただ取ったり取られたりで、なにも面白くありません。しかし、碁にはこのコウに特別なルールが用意されています。 左図では取られるとすぐに取り返す動作を繰り返していますが、碁ではこのような「取られた所をすぐに取り返して、元の形に戻す手」を禁止しています。 |
図3-15![]() |
上図に、△の黒と○の白を加えた形です。 |
図3-16![]() |
黒が取ったところです。△の石が加わっているために図3-14とは事情が異なっています。 白としては、アタリされている石をどうするか、悩ましい状況です。 |
図3-17![]() |
放っておくと、このように取られてしまいます。 ただし、黒白交互に打つので、この図のどこかに白石が2個加わった姿にはなりますが。 |
図3-18![]() |
これは上の図とは逆に白が取ったところです。 |
図3-19![]() |
やはり放っておくと、このようになり、図3-17と立場が逆転します。 つまり、たった一個の取り合いですが、その次の手まで考えると、図3-14より図3-15の方が影響が大きいことになります。 |
図3-20![]() |
図3-18の後、黒がすぐ取り返して同じ形に戻すことは禁止されていますし、 図3-19の姿もイヤなので、×の様に逃げたとします。 ここで白には選択肢があります。 |
図3-21![]() |
白はこのようにコウの形を解消することもできますし、 |
図3-22![]() |
あるいはさらに、こんなふうに打つ事もできます。 |
図3-23![]() |
上の図で黒は両アタリにされていますが、両方の石を助けるにはコウを取り返すしかありません。 この図は図3-16と比べると、E7の黒石とD4の白石が加わっているため、コウを取り返すことが許されているのです。 |
図3-24![]() |
白としても、取られたところをすぐ取り返して同じ形に戻すことは禁じられていますから、 例えば、この×のように逃げたとします。 黒もこの場面で選択肢があります。 |
図3-25![]() |
コウを解消して×のところに打って十分だと判断する道と・・・、 |
図3-26![]() |
例えば、さらに両アタリを狙って×のように打つ道を選ぶかもしれません。 |
図3-27![]() |
もし黒が上図の道を選んだとして、白は両アタリを防ぐためにコウを取り返すことができます。 なぜなら、F3の白石とG6の黒石が加わった為に、コウを取り返しても元の姿には戻らないからです。 そして、この一個の石の取り合いは、図3-20の状況よりもさらに影響の大きなものになっています。 |
図3-28![]() |
黒はすぐに取り返せませんから、この×のように打ったとします。 D6の白石を狙っています。 |
図3-29![]() |
このとき、白はコウを解消する手段として、この様に黒の石を抜いてしまう方法もあります。 D6の白石を取られるより、この図の方が有利だと判断すれば、この道を選ぶことになります。 |
図3-30![]() |
もちろん白はコウを解消しなくてもかまいません。 このように、ゲタに取られそうな石を助けるかもしれません。 どちらの道を選ぶかは、白の状況判断によります。 |
図3-31![]() |
もし白が上図を選べば、こんどはまた黒がコウを取り返すことができます。 |
以上のように、コウはすぐ取り返すことが出来ないルールであるため、どうしても取り返したいと思ったときとき、つまり、取り返さないと戦況が不利になると判断したときは、どこかに一手打って、その手に相手が反応してくれる必要があります。 この、どこかに打つ一手を「コウ立て」と呼びます。 コウ立ては、コウのそのものの価値(影響の大きさ)と同等以上の価値(影響)を持っていないと、相手に無視されてしまうかもしれません。 そもそも、コウの価値がどれ程の物か、そして、コウ立ての価値がどれ程の物か、は、対局者それぞれの判断によるもので、絶対的な物差しが有るわけではありません。 対局者は、コウの価値とコウ立ての価値を天秤に掛け、より有利だと判断した方を選択することでいずれはコウが解消されます。 そして、その価値判断はかならずしも同じではないが故に、碁盤の上の変化がコウによってよりダイナミックで面白い物になります。 |
補足-1![]() |
※重要な補足 コウと紛らわしい形を一つ紹介します。 左図は黒の手番だとします。 白石を2個取れる状況です。取った形が次の図です。 |
補足-2![]() |
×の黒石がアタリになっています。 コウのルールを初めて学んだ直後は、この×の黒石をすぐ取り返す事に抵抗を感じる人が多いようです。 しかし、この形はコウではありませんので、すぐに取り返すことが出来、次の図のようになります。 |
補足-3![]() |
補足-1の図と左図を比較して下さい。 D5の石が無くなっていますから、取り返しても元の形に戻っていません。 つまり、コウではないのですぐ取り返すことが出来るのです。 |
補足-4![]() |
盤の端でも同じです。 |
補足-5![]() |
2個取られたところですが、×の石がアタリになっていて・・・、 |
補足-6![]() |
すぐに取り返すことが出来ます。 もう一度確認します。 コウとは、「すぐ取り返すと元の形に戻る」状態です。 元の形に戻らないのであれば、取られた所をすぐ取り返してかまいません。 |
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