勝手読み



デフォルメ




 前回「宇宙」の前振り用に考えていたネタが有りまして、少し長くなりすぎるんで割愛したんですが
、もったいないんで「盤外編」としてお送りすることにします。
従いまして今回は碁の話題ではありません。予めお断りしておきたいとおもいます。


 昔、理科の教室には太陽を回る地球と月の模型が置いてあったものですが、最近の学校にもまだ同じ様な模型は有るんでしょうか。
あの模型、太陽に見立てた白熱電球を中心に、半径50センチ位の所を太陽役の電球より少し大きめの地球儀が回り、さらにその回りをピンポン玉くらいの大きさの月が回る仕掛けになっていました。
地球を支えている腕を回すと、それにつれて月も動くようになっていて、太陽と地球と月の位置関係をいろいろ試すことが出来ます。その位置によって、地球に月の影が出来たり、月が地球の影にすっぽり入ったり、要するに日食や月食の説明用だったわけです。

確かにこの模型を使うと日食や月食がなぜ起きるのかを分かり易く説明できます。しかし、子供達には(少なくとも私には)その目的以外の影響が大きく作用したように思います。
つまり、太陽と地球と月の大きさや距離の関係が、随分と極端にデフォルメされたイメージのまま頭のなかに刻みつけられてしまった、ということです。

そのことに気が付いたのは、たぶん社会科かなにかの授業中だったような・・・。自分のノートに太陽を回る地球の図を描いてみたくなったことがありました。まず、白紙のページの真ん中に適当な大きさで円を描き、その直径を定規で測ってから地球までの距離の換算を試みました。その時使った距離の単位は光の速度です。太陽の端から端まで光りで何秒かかるとか、太陽から地球まで光りが届くのに何分かかるとか、たまたま何かの本で読んで知っていたんですねぇ。
それにしても、今から思えばなんとも無茶苦茶なアプローチです。先に太陽を描いちゃうんですから。

で、当然のことながらノートに収まらない訳です。見開き2ページを斜めに使ってやっと太陽と地球を描いたときには、太陽の直径は5ミリにも満たなくなってしまいました。因みに地球は鉛筆の先を尖らせてからチョン!と点を描きました。
頭の中にそれまで描かれていた太陽系の姿は完全に吹き飛んでいました。

同じ縮尺で例の模型を作り直すとしたらどうなるでしょう。太陽は白熱電球のままとすると、一般的な電球は直径6センチですから、地球は電球から約6.4メートルの位置になります。そしてその直径は0.5ミリ程です。0.5ミリの球っていいますと、ボールペンの先端に使われている金属球位の大きさでしょうか。
さらに、月はその金属球の1/4位の大きさで、17ミリ程離れた所を回っていることになります。



 宇宙から見ると地球の存在はなんとチッポケなものでしょう。そしてそのチッポケな地球の上で、日常の些細な事に囚われて生きているいる自分の姿がなんとはかない存在に思えることでしょう。

なんてね、そんなことを想った多感な少年時代が私にも有ったなぁ・・・

太陽系について詳しく知りたい方には「ザ・ナインプラネッツ(日本語版)」がお奨めです。


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