勝手読み



もしかして





 囲碁の入門に有効な「ポン抜きゲーム」というものが有ることを私が初めて知ったのは、「囲碁が10倍おもしろくなる本」(横内猛著 誠文堂新光社)を立ち読みしていたときでした。

 なんというか、目から鱗というか、「こんな教え方があるんだ!」と、びっくりしました。

 その後いろいろ調べてみると、このゲームが囲碁入門用として定着する以前から、難しいルールを後回しにして石の取り合いから始める入門方法というのは有ったようです。
 しかし、残念ながらそのような教わり方でなく、「井目風鈴中四目」(せいもくふうりんなかしもく)の置き碁から始めた私の目には、このゲームがとても新鮮に映りました。

 で、すっかり「ポン抜きゲーム」が気に入ってしまい、愛着を込めて「ポン碁」と呼ぶことにしました。



 ところで、
碁の歴史は三千年とも四千年とも言われていますが、実際の所はよく分かっていません。

 古代の記録に碁が登場し始めた頃には、もう既にほぼ現在の形に近いものになっていたようです。
しかし、それ以前の「碁の生い立ち」みたいなものを示す資料は全く無く、碁というゲームが何処でどのように生まれ、そして育ってきたのかは想像を逞しくする他はありません。

 まぁ、だからこそ好き勝手な事を考えてもいい理屈で、このサイトの入門講座を作るに当たり私が企てたことは、私がなんの根拠もなく勝手に考え出した「碁の進化の過程」、つまり「
ポン碁に始まり囲碁に至る道」に沿った内容にしようという無謀なものでした、が、はたして私の目論み通りの出来上がりになったでしょうか。



 さて、その入門講座に登場する「丼碁(ザル碁)」ですが、当初は「ポン碁」と「純碁」の橋渡し役として導入する予定でした。しかし、丼碁(ザル碁)について考えれば考えるほど、
丼碁(ザル碁)こそ囲碁の直接の祖先ではないかと思うようになりました。なぜなら、私が碁を覚えたての頃不思議でしょうがなかった二つの疑問、

  疑問1.なぜアゲハマを埋め戻してから地を数えるの?
  疑問2.なぜセキの眼は地に数えないの?

この二つの疑問の答えが丼碁(ザル碁)の中に見えたからです。

 囲碁(ただし、ここで言う囲碁とは、眼を地と数えない「切り賃」付きの囲碁です)が丼碁(ザル碁)の終局手続きを簡素化した姿だと考えれば「疑問1」の手続きは当然のことですし、その手続きの過程でのセキの扱いを考えれば「疑問2」もまた明瞭です。

 そして、「切り賃付き囲碁」から「切り賃」が省略され「現在の囲碁」に変化する過程で、セキに関する扱いがそのまま残ったと考えるのは無理のない自然な流れだと思うのです。

 もしかして、本当に「丼碁(ザル碁)」ルールで碁が打たれていた時期が有ったのではないか。いや、その時期がきっと有ったに違いない、と、私は確信しているのです。



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