勝手読み



細かいことが気になって(セキ)




 勝敗判定にセキがどう関わるのかを考えます。

 セキを絡めると、さすがに5路盤では無理ですので、7路盤で考えます。また、セキ以外の影響が出ない事例を、できるだけ使うようにしました。

例4-1
 まずは、もっとも単純なセキが絡んだケースです。


 黒17手、白17手打ち、次は黒番です。

 右辺の一団がセキになっています。


 囲碁はここで終局です。

 ハマは有りません。
例4-2
 純碁と丼碁(ザル碁)は黒白それぞれ×の石を打ち、続いて黒パス、白が△に打ちます。

 純碁はここで終局です。


 丼碁(ザル碁)はこの後、黒パス、白パスです。

 パスに伴うハマとして、黒は白石を1個、白は黒石を2個持って終局です。


 囲碁は地を数えます。セキが絡む空点は地に数えない規則です。

        黒6目、白7目で、白1目勝ちです。

 純碁は盤上の石を数えます。

        黒21個、白22個で、白1個勝ちです。

 丼碁(ザル碁)はハマの数を数えます。

        黒が白石1個、白が黒石2個で、白1個勝ちです。

 以上より、このケースでは全ての碁で同じ結果になります。

例5-1
 次は、眼を持つセキが絡んだケースです。


 黒16手、白16手打ち、次は黒番です。

 下辺の一団がセキになっています。


 囲碁はここで終局です。

 ハマは有りません。
例5-2
 純碁と丼碁(ザル碁)は黒白それぞれ×の石を打ちます。

 純碁はここで終局です。


 丼碁(ザル碁)はこの後、黒パス、白パスです。

 パスに伴うハマとして、黒は白石を1個、白は黒石を1個持って終局です。

 囲碁は地を数えます。セキが絡む空点は地に数えない規則です。例えそれが眼であっても地には数えません。従って、A1の眼は白の得点になりません。同じく、G1の眼も黒の得点になりません。

        黒7目、白7目で、持碁です。

 純碁は盤上の石を数えます。

        黒21個、白21個で、持碁です。

 丼碁(ザル碁)はハマの数を数えます。

        黒が白石1個、白が黒石1個で、持碁です。

 以上より、このケースでも全ての碁で同じ結果になります。

例6-1
 次は、一方のみ眼を持つセキが絡んだケースです。


 黒19手、白19手打ち、次は黒番です。

 右下の一団がセキになっています。


 囲碁はここで終局です。

 ハマは有りません。
例6-2
 純碁と丼碁(ザル碁)は黒白それぞれ×の石を打ち、続いて黒パス、白が△に打ちます。

 純碁はここで終局です。


 丼碁(ザル碁)はこの後、黒パス、白パスです。

 パスに伴うハマとして、黒は白石を1個、白は黒石を2個持って終局です。

 囲碁は地を数えます。セキが絡む空点は地に数えない規則です。D1やG4の眼が黒の得点にならないことに注意が必要です。

        黒3目、白4目で、白1目勝ちです。

 純碁は盤上の石を数えます。

        黒20個、白21個で、白1個勝ちです。

 丼碁(ザル碁)はハマの数を数えます。

        黒が白石1個、白が黒石2個で、白1個勝ちです。

 以上より、このケースでも全ての碁で同じ結果になります。



 現在の囲碁(日本囲碁規約)ではセキに絡む眼を地に数えない規則ですが、試しに、もし数えるとしたらどうなるか考えてみましょう。

 例4では、セキに眼が有りませんから結果は変わりません。白1目勝ちです。

 例5では、セキの眼は黒白とも1目ずつですから、やはり持碁であることに変わり有りません。

 例6では、黒だけがセキの眼を2目持っています。従って黒1目勝ちとなり、逆転します。

 実戦では、例6のような形が出来る可能性はほとんどゼロに近いでしょうから、実質的にはセキの眼の扱いによって勝負が逆転するケースは無いと考えて良いのかもしれません。
 であればむしろ、セキの眼を地として数える規則であっても特に問題は無いような気がします。

 その方が、地を争うゲームとしては感覚的にしっくり来るんですけど・・・・・。


 おおっと! いけねぇ! 大事な形を忘れていたました。

例7-1
 こんなセキが絡むと事情が少し変わります。


 黒19手、白19手打ち、次は黒番です。

 右下の一団がセキになっています。


 囲碁はここで終局です。

 ハマは有りません。
例7-2
 純碁と丼碁(ザル碁)は黒白それぞれ×の石を打ち、続いて黒が△に打ちます。

 純碁はここで終局です。


 丼碁(ザル碁)はこの後白パス、黒パスです。

 パスに伴うハマとして、黒は白石を1個、白は黒石を1個持って終局です。

 囲碁は地を数えます。セキが絡む空点は地に数えない規則です。

        黒4目、白4目で、持碁です。

 純碁は盤上の石を数えます。

        黒22個、白21個で、黒1個勝ちです。

 丼碁(ザル碁)はハマの数を数えます。

        黒が白石1個、白が黒石1個で、持碁です。

 以上より、このケースでは純碁の結果が他と異なります。

 因みに、修正丼碁(ザル碁)であれば、白はもう1回パスが必要になり、黒のハマが1個増え黒の勝ちです。



 ところで囲碁の場合、仮にセキの眼を地に含めるとすると、この例7はちょっと悩ましい姿です。

 G1の点は、いわゆる「欠け目」です。この空点を地とすべきでしょうか。もし、カウント出来るとすれば、黒は持碁ではなく1目勝ちになります。

 純碁や丼碁(ザル碁)では黒だけが着手可能な空点として扱われます。その結果、純碁では黒の1個勝ちとなっています。
 丼碁(ザル碁)では、G1の着手が結果に反映していませんが、修正丼碁(ザル碁)では結果に影響して来ます。


 この例7のような形は実戦にしばしば現れそうです。

 日本囲碁規約がセキにからむ空点を地に含めないと決めているのは、この形の為かもしれません。



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