勝手読み
今回のネタは私がもっとも苦手とする「ヨセ」に関する話題です。書いている途中で内容が破綻するかもしれません。支離滅裂になってもご容赦下さい。(と、先に逃げを打っておく事を忘れてはいけない。) 以前にも書きましたが、このサイトを始める直接のきっかけは「囲碁が10倍おもしろくなる本」(横内猛著 誠文堂新光社)に刺激されたからです。この本の中に、中国には「地」に相当する言葉はなく、その概念すらない、そして碁とは石を囲うゲームだ、と書かれています。 さて、石を囲うゲームにも終盤はあります。当然「ヨセ」のステップがあるはずです。では、中国ルールの下で、つまり「地」の概念無しに、どのように「ヨセ」を考えているのだろうか、と言うのが今回のテーマです。 とは言ってもなにせ苦手な分野ですので、一番簡単なヨセ、一線のハネツギを取り上げてみたいと思います。 では一応初級講座的説明から入りましょう。 |
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図1![]() |
左図では、D9,E9近辺で白黒の境界がまだはっきりしていません。 この境界を決める作業が「ヨセ」です。 |
図2![]() |
この図の白の手順1、3をハネツギといいます。 |
図3![]() |
黒から打てば左図の様になります。 |
図4![]() |
この図は、ハネツギを打たなかった場合です。 ×印の付いた4点に注目して下さい。 白がハネツイだ図2では黒の側に、黒がハネツイだ図3では白の側に食い込んでいるのが分かります。 |
日本ルールの考え方では、図4より図2の方が黒地が2目減らされています。同様に図4と図3の比較では白地が2目少なくなっています。 要するに、白がハネツグか黒がハネツグかで差し引き4目の差になります。 さて、地の概念のない中国ルールでは図1~4のヨセをどのように説明することになるのでしょうか。 中国ルールでは、スコア集計に石数と囲まれた空点数の合計を使います。ということは、図4の×印の点は石が有っても無くても同じ価値だということです。問題となるのはD9とE9の2点です。 図4と図2を比較すると、図2の方がE9の点の分だけ白石が多く黒石が少なくなっています。同様に図4と図3の比較でD9の白石が黒石に変わっています。 従って、図2と図3の差はやはり差し引き4子ということになります。 さて、次はハネツギ関連で必ず取り上げられる応用問題に移りますが、その前に図2の黒4を手抜きするとどうなるかを見ておきます。 |
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図5![]() |
図2の黒4を手抜きすると左図の様に白5と切られます。 黒は逃げられませんから、黒地は白から大きく進入されてしまうことになります。 つまり、白が1、3とハネツイできたら黒4のツギは省けないということです。 |
図6![]() |
さて本題に入ります。 左図の形で白1、3とハネツイできたとき、黒4でどうツグのが良いかという問題です。 |
図7![]() |
まず普通に黒4のツギではどうでしょうか。 すると続いて白5、7とこちらからもハネツイできます。 黒8は省けません。 |
図8![]() |
実は黒4を左図の様に打つ手があります。これでF8の切りを防いでいます。 |
図9![]() |
そして、白5、7とハネツイできても、今度は黒8を何処か別の所に打つことができます。 黒4の石がH7の切りも同時に防いでいるからです。 如何でしょうか、黒4の手は一石二鳥の好手ということになります。 |
さて、まず日本ルールで図7と図9を評価してみましょう。 黒4の手は、直接に地の大きさに影響しています。図7の黒地は8目、図9の黒地は9目で、図9の方が1目多くなっています。 また間接的な効果もあります。図7では黒8が省けませんが、図9では別の所に打てます。つまり先手を取ったことになります。少し見方を変えると、図9の黒4は白5、7を先手で無くしていると言うことです。実はこの価値が大きい。 では次に中国ルールで考えてみましょう。 先にも言いましたが、中国ルールでは石と空点の両方を数えます。図7の部分的なスコアは黒石が10個、空点が8個ですから合計18子です。図9は黒石9個、空点9個、計18子です。つまり図7も図9も部分スコアでは同じとなります。ただし、図9は白の先手ヨセを奪っている点は日本ルールと同様で、黒4は大きな価値を持っています。 よく、日本ルールより中国ルールの方が碁を覚えやすいとか、教えやすいとか言います。しかし、それは本当でしょうか。 確かに入門段階でいきなり日本ルールで覚えるのは難しいでしょう。そのために純碁とか丼碁(ザル碁)とかの入門用ルールでハードルを低くしている訳ですが、それらの入門用ルールで今回取り上げたヨセの説明をうまく出来るかというと、ちょっと自信がありません。 中国ルールでも同じ事で、慣れないせいも有るかとは思いますが、上の説明で日本ルールと中国ルールのどちらが分かり易いかといえば、やはり日本ルールの方ではないでしょうか。 「中国には地を表す言葉もないし概念もない」と中国のプロが言っているのだから間違いないのでしょうが、ことヨセに関して言えば、ホントに地の概念なしに考えているのだろうか、と、疑問に思わざるを得ないというのが正直な気持ちです。 |
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